ぐ》して、枕元にあった無反《むそり》の一刀を引抜いて、斬付けようとすると、がら/\/\と家鳴《やなり》震動がした」
○「ふうん」
侍「ばら/\/\表へ逃げる様子、尚《なお》追掛けて出ると、這《こ》は如何に、拙者が化《ばか》されていたのじゃ、茅屋《あばらや》があったと思う処が、矢張《やっぱり》野原で、片方《かた/\》はどうどうと渓間《たにま》に水の流れる音が聞え、片方は恐ろしい巌石《がんせき》峨々《がゞ》たる山にして、ずうっと裏手は杉や樅《もみ》などの大樹《だいじゅ》ばかりの林で、其の中へばら/\/\と追込んだな」
○「へえー成程、狐《きつね》狸《たぬき》は尻《けつ》を出して何かに見せると云うが、貴方それから何うしました」
侍「追掛けて行って、すうと一刀|浴《あび》せると、ばたり前へ倒れた…化物が…拙者も疲れてどたーり其処《そこ》へ尻餅を搗《つ》いた」
○「成程是は尤《もっと》もです、痛《いと》うござえましたろう、其処に大きな石があったんで」
侍「なに石も何もありゃアせん、余計な事を云わずに聞きなさい」
○「な何の化物でげす」
侍「善《よ》く善く其の姿を見ると、それが伸餅《のしもち》の石
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