然《そ》うで……其方《そちら》のお方はお三人連で何方《どちら》へ」
□「私《わし》は常陸《ひたち》の竜《りゅう》ヶ崎《さき》で」
鐵「へえ」
□「常陸の竜ヶ崎です」
鐵「へえー何ういう訳で此様《こん》な寒い処へ常陸からおいでなさったんで」
□「種々《いろ/\》信心がありまして、全体|毎年《まいねん》講中《こうじゅう》がありまして、五六人ぐらいで木曾の御獄様《おんたけさま》へ参詣《さんけい》をいたしますが、村の者の申し合せで、先達《せんだつ》さんもお出《いで》になったもんだから、同道してまいりやした、実は御獄さんへ参るにも、雪を踏んで難儀をして行《ゆ》くのが信心だね」
鐵「へえー大変でげすな、御獄さんてえのは滅法けえ高《たけ》え山だってね」
□「高いたって、それは富士より高いと云いますよ、あなた方も信心をなすって二度もお登りになれば、少しは曲った心も直りますが」
鐵「えへゝゝゝ私《わっち》どもは曲った心が直っても、側から曲ってしまうから、旨く真直《まっすぐ》にならねえので……えゝ其方《そちら》においでなさる方は何方《どちら》で」
此の客は言葉が余程鼻にかゝり、
×「私《わし》は奥州
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