い処へ立廻るはお宜しくない事で」
 という。此の佐藤平馬という奴は、内々《ない/\》神原五郎治四郎治の二人から鼻薬をかわれて下に使われる奴、提灯持《ちょうちんもち》の方の悪い仲間でございますから、斯《か》く訳の分らんように云いましたのは、お竹にお屋敷の様子が聞かしたくないから、真実《まこと》しやかに云ってお屋敷近辺へ置かんように追払《おっぱら》いましたので、お竹はどうも致方《いたしかた》がない、旧来馴染の出入町人の処へまいりましても、長く泊っても居《お》られません、又一緒にまいった宗達も、長くは居《い》られません理由《わけ》があって、或時お竹に向い、
宗「私《わし》は何うしても美濃の南泉寺へ帰らんければならず、それに又私は些《ち》と懇意なものが有って、田舎寺に住職をしている其の者を尋ねたいと思うが、貴方は是から何処《どこ》へ参らるゝ積りじゃ」
竹「何処へも別にまいる処もありませんが、お国へまいれば弟が居ります、成程御家老も弟を連れて、お出《いで》は出来ますまい、御帰参の叶う吉左右《きっそう》を聞くそれまではお国表にいる事でございましょうから、私《わたくし》もどうかお国へ参りとうございま
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