っ》た一粒者《ひとつぶもの》でございます、人間は馬鹿でございますが、私の死水《しにみず》を取る奴ゆえ、母が亡《なくな》りましてから私の丹誠で是までにした唯た一人の忰を殺すというのは、皆《みんな》私の心の迷い、強慾非道の罰でございます」
僧「土台呆れた話じゃが、何ういう訳でお前は我子を殺した」
五「はい、申上げにくい事でございますが、此の甲州屋も二十年前までは可なりな宿屋でございました処が、私《わたくし》は年を老《と》りましても、酒や博奕《ばくち》が好きでございまして、身代を遂に痛め、此者《これ》の母も苦労して亡りました、斯うやって表を張《はっ》ては居りますが、実は苦しい身代でございます、ところが此のお嬢様が先達《せんだっ》て宿賃をお払いなさる時に、懐から出した胴巻には、金が七八十両あろうと見た時は、面皰《にきび》の出る程欲しくなりました、あゝ此の金があったら又|一山《ひとやま》興《おこ》して取附く事もあろうかと存じまして、無理に七日までお泊め申しましたが、愈々《いよ/\》明日《みょうにち》お立ちと聞きましたゆえ、思い切って今晩|密《そっ》と此のお嬢様を殺して金を奪《と》ろうと企《たく》
前へ
次へ
全470ページ中311ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング