のようなはしたない下郎《げろう》を亭主に持つような身の上ではありません、無礼なことをお云いでない、彼方《あっち》へ行きなさい」
早「魂消《たまげ》たね……下郎え……此の狸女《たぬきあま》め……そんだら宜《え》え、そうお前の方で云やア是まで親父の眼顔《めかお》を忍んで銭を使って、お前《めえ》の死んだ仏の事を丹誠した、また尽《つく》しものを書いて貰うにも四百《しひゃく》と五百の銭を持ってって書いて貰ったわけだ、それを下郎だ、身分が違うと云えば、私《わし》も是までになって、あんたに其んなことを云われゝば友達へ顔向が出来ねえから、意気張《いきはり》ずくになりゃア敵《かたき》同志だ、可愛さ余って憎さが百倍、お前の帰《けえ》りを待伏《まちぶせ》して、跡を追《おっ》かけて鉄砲で打殺《ぶッころ》す気になった時には、とても仕様がねえ、然《そ》うなったら是までの命だと諦めてくんろ」
竹「あらまア、そんな事を云って困るじゃアないか、敵同志だの鉄砲で打《う》つのと云って」
早「私《わし》は下郎さ、お前《まえ》はお侍《さむれえ》の娘《むすめ》だろう、併《しか》し然《そ》う口穢《くちぎたな》く云われゝば、私だって
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