一つ虫尽しにて書記《かきしる》し※[#「まいらせそろ」の草書体、344−6]《まいらせそろ》よ」
早「一《ひとつ》虫尽しにて書記《かきしる》し※[#「まいらせそろ」の草書体、344−6]」
久「えゝ女子《おんな》の綺麗《きれえ》な所を見せなくちゃアなんねえ……綺麗な虫は……ア玉虫が宜《え》い、女の美しいのを女郎屋《じょろや》などでは好《い》い玉だてえから、玉虫のようなお前様を一《ひ》と目見るより、いなご、ばったではないが、飛《とび》っかえるほどに思い候《そうろう》と書け」
早「成程いなご、ばったではないが、飛っかえるように思い候《そろ》」
久「親父の厳《やかま》しいところを入れてえな、親父はガチャ/″\虫にてやかましく、と」
早「成程……やかましく」
久「お前の傍《そば》に芋虫のごろ/″\してはいられねえが、えゝ……簑虫《みのむし》を着《き》草鞋虫《わらじむし》を穿《は》き、と」
早「何の事だえ」
久「汝《われ》が野らへ行く時にア、簑を着たり草鞋を穿いたりするだから」
早「成程……草鞋虫を穿きい」
久「かまぎっちょを腰に差し、野らへ出てもお前様の事は片時忘れるしま蛇もなく」
早「成程…
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