てまいりとう存じますが、御覧の通り是からは私《わたくし》一人でございますから、何かと世話のないように髪の毛だけでも江戸の親元へ参れば宜しゅうございますから、殊《こと》に当人は火葬でも土葬でも宜《よ》いと遺言をして死去《なくな》りましたから、どうぞ御近処《ごきんじょ》のお寺へお葬り下さるように願いたいもので」
五「左様でございますか、お泊り掛《がけ》のお方で、何処《どこ》の何《なん》という確《しっ》かりとした何か証《しょう》がないと、お寺も中々|厳《やかま》しくって請取《うけと》りませんが、私《わたくし》どもの親類か縁類《えんるい》の人が此方《こっち》へ来て、死んだような話にして、どうか頼んで見ましょう」
と此の話の中《うち》にいつか忰の早四郎が後《うしろ》へまいりまして、
早「なに然《そ》うしねえでも宜《え》い、此の裏手の洪願寺《こうがんじ》さまの和尚様は心安くするから頼んで上げよう、まことに手軽な和尚様で、中々道楽坊主だよ、以前《もと》は叩鉦《ちゃんぎり》を叩いて飴を売ってた道楽者さ、銭が無ければ宜《え》い、たゞ埋めて遣《や》んべえなどゝいう捌《さば》けた坊様だ、其の代りお経なんど
前へ
次へ
全470ページ中278ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング