…困ったなアそれ見ろ、だから云わねえ事じゃアねえ、何様《どん》な様子だ」
婆「何様《どんな》にも何《なん》にも娘子《あまっこ》が声をあげて泣いてるだよ、あんた余《あんま》り泣きなすって身体へ障《さわ》るとなんねえから、泣かねえが宜《よ》うがんすよ、諦めねえば仕様がねえと云うと、私《わし》は彼《あれ》に死なれると、年もいかないで往《ゆ》く処も無《な》え、誠に心細うがんす、あゝ何うすべいと泣くだね、誠に気の毒な訳で」
五「はアー困ったもんだな」
早「私《わし》え、ちょっくら行って来よう」
五「なに手前《てめえ》は行かなくっても宜《え》い」
早「行かなくっても宜《え》いたって、悔《くや》みぐらいに行ったって宜《よ》かんべい」
五「えゝい、何ぞというと彼《あ》の娘の処《とこ》へ計《ばか》り行《ゆ》きたがりやアがる、勝手にしろ」
 と大《おお》かすでございましたから早四郎は頬を膨《ふく》らせて起《た》って行《ゆ》く。五平は直《たゞち》にお竹の座敷へ参りまして。
五「はい、御免下せえ」
 と破れ障子を開けて縁側から声を掛けます。
竹「此方《こっち》へお入《はい》んなさいまし、おや/\宿《やど》の御
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