ないと分り、私《わたくし》の遺恨どころでない、実に主家《しゅうか》の大事だから、早くお国表へまいろうと云うので、急に二人《ふたり》梅三郎と共にお国へ出立いたしましたが、其の時姉のお竹の方へは、これ/\で梅三郎は全く父を殺害《せつがい》いたしたものではない、お屋敷の一大事があって、細かい事は申上げられんが、一度お国表へまいり、家老に面会して、どうかお家《うち》の安堵《あんど》になるようと、梅三郎も同道してお国表へ出立致しますが、事さえ極《きま》れば遠からず帰宅いたします、それまで落着いて中の条に待っていて下さい、必らずお案じ下さらぬようにとの手紙がまいりました。なれどもお竹は案じられる事で、
竹「何卒《どうぞ》して弟《おとゝ》に会いたい、年歯《としは》もいかない事であるから、また梅三郎に欺《あざむ》かれて、途中で不慮の事でも有ってはならん」
と種々《いろ/\》心配いたしても、病中でございますから立つことも出来ず、忠平に介抱されまして、段々と月日が経《た》つばかり、其の内に病気も全快いたしましたが其の後《のち》国表から一度便りがござりまして、秋までには帰る事になるから、落着いて居てくれと
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