は忠義を尽したい心得、拙者がお屋敷を逃去《にげさ》る時に……手に入《い》りました一封の密書、それを御覧に入れますから、少々お控えを願います、決して逃隠れは致しません、拙者も厄介人《やっかいびと》のこと、当家を騒がしては母が心配いたしますから、何卒《どうぞ》お静かに此の密書を……如何《いか》にも若江から拙者へ遣《つか》わしましたところの文《ふみ》を其の場所に落して置き、此の梅三郎に其の罪を負わする企《たく》みの密書、織江殿を殺害《せつがい》いたした者はお屋敷|内《うち》他にある考えであります」
祖「ムヽー証拠とあらば見せろ」
梅「御覧下さい」
 と例の手紙を出して祖五郎に渡しました。祖五郎はこれを受取り、披《ひら》いて見ましたところ、頓と文意が分りませんから、祖五郎は威丈高《いたけだか》になって、
祖「黙れ、何だ斯様《かよう》のものを以て何の云訳《いいわけ》になる、これは何たることだ、綾が取悪《とりにく》いとか絹を破るとか、或《あるい》は綿を何うとかすると些《ちっ》とも分らん」
梅「いえ、拙者にも匿名書《かくしぶみ》で其の意味が更に分りませんが、拙者の判断いたしまする所では、お屋敷の一大
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