られて何う致すことも出来やせんので、へえ」
大「いや、それは宜しい、心配致すな、手前は己の家来ということを知るまい」
有「ところが知ってます/\、済まねえけれどもお前さん、ギラ/\するやつを引《ひっ》こ抜いて私《わっし》の鼻っ先へ突付け云わねえけりゃア五分だめしにしちまう、松蔭の家来だろう、三崎の屋敷に居たろう、顔を知ってるぞ、さア何うだと責められて、つい左様でごぜえますと申しやした」
大「なにそれは云っても宜《い》い、彼《あ》の晩には実ア神原も酷《ひど》い目に遭った、何事も是程の事になったら幾らも失策《しくじり》はある、丸切《まるッき》りしくじって、此の屋敷を出てしまったところが、有助貴様も己と根岸に佗住居《わびずまい》をしていた時を思えば、元々じゃアないか」
有「それは然《そ》うでごぜえます」
大「彼処《あすこ》に浪人している時分一つ鍋で軍鶏《しゃも》を突《つッつ》き合っていたんだからのう」
有「旦那のように然う小言を云わずにおくんなさるだけ、一倍|面目無《めんぼくの》うござえます」
大「だによって行《や》る処までやれ、今までの失策《しくじり》も許し、何もかも許してやる、それに手前
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