何故追出してやらねえ、敷居を跨がして内へ入れる事はねえよ」
清「それは然《そ》う云ったって仕様がねえ、どうせ年頃の者に固くべえ云ったっていかねえ、お前《めえ》だって此処《こけ》え縁付いて来るのに見合から仕て、婚礼したじゃアねえ、彼《あれ》を知ってるのは私《わし》ばかりだ、十七の時だね、十夜《じゅうや》の帰りがけにそれ芋畠《ずいきばたけ》に二人立ってたろう」
母「止せ……汝《われ》まで其様《そんな》ことをいうから娘《あま》がいう事を肯《き》かねえ、宜く考《かんげ》えて見ろよ、熊《くま》ヶ谷《い》石原《いしはら》の忰を家《うち》へよばる都合になって居るじゃアねえか、親父のいた時から決っているわけじゃアねえか、それが今|情夫《おとこ》を連れて逃げて来やアがって、親が得心で匿《かく》まって置いたら、石原の舎弟や親達に済むかよ」
清「おゝ違《ちげ》えねえ、是は済まねえ」
母「済まねえだって、汝《われ》は何もかも知っていながら、彼《あ》の娘《あま》を連れて来て、足踏みをさせて済むかよ、只《たっ》た今|追出《おんだ》してしめえ、汝《われ》ア幾歳《いくつ》になる、頭ア禿《はげ》らかしてよ、女親だけに子
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