縫《しごと》も能《よ》くするよ」
林「ヒエ……冗談ばっかり仰しゃいますな、旦那さまアおからかいなすっちゃア困ります、お菊《けく》さんなら好《え》いの好《え》くないのって、から理窟は有りましねえ、彼様《あん》な優しげなこっぽり[#「こっぽり」に傍点]とした方は少ねえもんでごぜえますな」
大「あはゝゝ、何だえ、こっぽり[#「こっぽり」に傍点]と云うのは」
林「頬の処や手や何かの処がこっぽり[#「こっぽり」に傍点]として、尻なぞはちま/\[#「ちま/\」に傍点]としてなあ」
大「ちま/\というのは小さいのか」
林「ヒエ誠にいらいお方さまでごぜえますよ」
大「手前が嫌いなれば仕方がない、気に入ったら手前の女房に遣りたいのう」
林「ひへゝゝゝ御冗談ばかし」
大「冗談ではない、菊が手前を誉《ほ》めているよ」
林「尤《もっと》も旦那様のお声がゝりで、林藏に世帯《しょたい》を持たせるが、女房がなくって不自由だから往ってやれと仰しゃって下さればなア……」
大「己が云やア否《いや》というのに極っている何故ならば衾《ふすま》を倶《とも》にする妾だから、義理にも彼様《あん》な人は厭《いや》でございますと云わな
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