お》りよう、千両までは受合って宜しい」
源「へえ……有難いことで、夢のようでございますな、お家のためと申しても、私《わたくし》風情が何《なん》のお役にも立ちませんが、それでは恐入ります、いえ何様《どん》な事でも致します、へえ手や指ぐらいは幾許《いくら》切っても薬さえ附ければ直《じき》に癒《なお》りますから宜しゅうございます、なんの指ぐらいを切りますのは」
とちょいと其の頃千両からの金子《かね》を貰って、立派な飴屋になるというので嬉しいから、指の先を切って血判をいたし、
源「何ういう御用で」
大「さ、こゝに薬がある」
源「へえ/\/\」
大「貴様は、水飴を煮るのは余程手間のかゝったものかのう」
源「いえ、それは商売ですから直《じき》に出来ますことで」
大「どうか職人の手に掛けず、貴様一人で上《かみ》の召上るものだから練《ね》れようか」
源「いえ何ういたしまして、年を老《と》った職人などは攪廻《かきまわ》しながら水涕《みずッぱな》を垂《たら》すこともありますから、決して左様なことは致させません、私《わたくし》が如何《いか》ようにも工夫をいたします」
大「それでは此の薬を練込むことは出来る
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