知と申すなら、一大事を明《あか》したによって手打に致すとおっしゃって、刀の柄《つか》へ手を掛けられたので、恟《びっく》り致しまして、否《いや》と云えば殺され、応《うん》と云えば是迄通り出入《でいり》をさせ、其の上多分のお手当を下さるとの事、お金が欲《ほし》くはございませんでしたが、全く殺されますのが辛いので、はいと止《や》むを得ずお受けをいたしました、真平《まっぴら》御免下さいまし」
秋「うむ、宜く言ってくれた、私《わし》も然《そ》うだろうと大概推察致して居った、宜く言ってくれた」
源「えゝ私《わたくし》が此の事を申上げましたことが知れますと、私は斬られます」
秋「いや/\手前が殺されるような事はせん、決して心配するな、あゝ誠に感心、宜く言ってくれた、これ当家の主人」
嘉「はい」
秋「今|私《わし》が源兵衞に云った事が逐一《ちくいち》分ったかえ、分ったら話して見るが宜《よ》い」
嘉[#「嘉」は底本では「梅」]「なにか仰しゃったようでごぜえますが、むずかしくって少しも分りませんが、若《わけ》え殿様に水飴を甜《な》めさせて、それから殿様にも甜めさせて、それを何ですかえ両方へ甜めさせるような事にして御扶持《ごふち》をくれるんだって」
秋「あはゝゝ分らんか、宜しい、至極宜しい、分らんければ」
嘉「それで何ですかえ、飴屋さんが御扶持を両方から貰って」
秋「宜しい/\、分らん処が妙だ、どうぞな私《わし》が貴様の家《うち》へ来て、飴屋と話をした事だけは極《ごく》内々《ない/\》でいてくれ、宜《よ》いか、屋敷の者に……婆《ばゞあ》が又|籠《かご》を脊負《しょ》って、大根や菜などを売《うり》に来た時に、秋月様が入《いら》しったと長家の者に云ってくれちゃア困る、是だけは確《しっ》かと口留をいたして置く、いうと肯《き》かんよ、云うと免《ゆる》さんよ、何処《どこ》から知れても他に知る者は無いのだから、其の儘にしては置かんよ」
嘉「はい……どうか御免を」
秋「いや、云いさえしなければ宜しいのだ」
嘉「いう処じゃアありません、婆さんお前は口がうるせえから」
婆「云うって云わねえって何だか知んねえものそれじゃア誰が聞いても、殿様は己《おれ》ア家《うち》へおいでなすった事はごぜえません、飴屋さんとお話などはなせえませんと」
秋「そんな事を云うにも及ばん、決して云ってはならんぞ」
婆「はい、畏《かし
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