情婦《いろ》も出来ようし、良《い》いお内儀《かみ》さんも持ちましょうけれども、私はどんな事をしたって思いを残す訳じゃアないが、余所《よそ》は仕方がないが、どうか柳橋では浮気をしておくれでない、若し柳橋で浮気をなさると、友さん私は死んでも浮ばれませんよ」
友「詰らない事を云うぜ、お前ほんとうに死なゝけりゃア行立《ゆきた》たないかえ」
村「あゝ私ゃ本当に死のうと思い詰めたから云いますが、こんな事が嘘に云われますか」
友「そうか、そんなら話すが実は己《おれ》も死のうと思っている、という訳は、旦那の金を二百六十両を遣《つか》い込んで、払い月だがまだ下《さが》りませぬ/\と云って、今まで主人を云い瞞《くろ》めたが、もう十二月の末で、大晦日《おおみそか》迄には是非とも二百六十両の金を並べなければ済まねえから、種々《いろ/\》考えたが、此の晦日前では好《い》い工夫もつかず、主人に対して面目ないし、自分の楽《たのし》みをして主人の金を遣い果たして、高恩を無にするような事をして実に済まねえ、どうも仕方がないから死のうと覚悟はしても、死にきれねえと云うのは、お前《めえ》を残して行《ゆ》くのはいやだ、
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