揚げて泣きますから、友之助は一向何事とも分らぬから、兎も角も早く様子が聞きたいと云うので、向島《むこうじま》の牛屋《うしや》の雁木《がんぎ》から上り、船を帰して、是から二人で其の頃|流行《はや》りました武藏屋《むさしや》と云う家《うち》がありました、其の家は麦斗《ばくと》と云って麦飯に蜆汁《しゞみじる》で一|猪口《ちょく》出来ます。其の頃|馴染《なじみ》でございますから人に知れないように一番奥の六畳の小間を借りまして、様子を聞こうと思うと、お村は云う事もあとやさきで只泣く計りでございますから、
友「どうも何《なん》だか唯泣いてばかりいては訳が分らないじゃアないか、冗談じゃない、又お母《っかあ》と喧嘩でもしたのだろう、お前のお母のあの通りの気性は幼《ちいさ》い時分から知ってるじゃアないか、能く考えて御覧、都合の好《い》い時分に何か買って行って、これをおたべ、これをお着と云って菓子の折《おり》か反物《たんもの》の一反も持って行《ゆ》けばニコ/\笑顔《わらいがお》をするけれども、少し鼻薬が廻らなければ、脹面《ふくれッつら》をして寄せ付けねえと云う不人情なお母だから、どうせお前は喰物《くいも
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