ては第一姉さん達の恥になり、私も外聞が悪いから、能《よ》くは出来ないが私だけは芸一方で売る心持でいますから、どうかそんな色めえた事を云うお客はぴったり断って下さいまし」
 月「お村はんが否《いや》だと云うならどうもしようがない」
 さ「おい本当にいけない餓鬼だよ、サ諾と云いな、否か、どうあっても否か、下を向いて返辞をしないのは否なのか、否だなどと云えば唯《たゞ》は置かねえよ」
 と云いながら手に持った長羅宇《ながらお》を振上げさま結《ゆい》たての嶋田髷《しまだまげ》を打擲《ちょうちゃく》致しましたから櫛《くし》は折れて飛びまする。
 月「あゝ危いよ、あれさ怪我でもさしたらどうする積りだよ」
 さ「お止めなさるな、止めると癖になります、太い阿魔でございます、これ何《なん》だと、芸一方で売りたいと、それはお月姉さんのような立派なお方の云う事だ、お前なんぞは今日此の頃芸者になり、一人前《いちにんめえ》になったのは誰のお蔭だ、お前が七歳《なゝつ》の時、親兄弟もない餓鬼を他人の私が七両の金を出して貰い切り世話をしたのだが、其の時は青膨《あおぶく》れだったが、私の丹誠で段々とお前さん胎毒|降《くだ
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