妓《こ》は堅くて無駄だからお止し、いけないと云っても中々|肯《き》かないで逆上《のぼせ》切ってるのサ、芸者を引きたければ華《はなや》かにして箱屋には総羽織《そうばおり》を出し、赤飯を蒸《ふか》してやる、又芸者をしていたいのならば出の着物から着替から帯から頭物《あたまのもの》まで悉皆《そっくり》拵《こしら》えて、お金は沢山《たんと》は出来ねえが、三百両や四百両ぐらいは纒《まと》めて遣《や》ると斯《こ》ういう旨い口だ、私などは願っても出来やしない、余《あんま》り宜《よ》い口だから、否《いや》でもあろうが諾《うん》とさえ云えば大《たい》した事に成るのだから話をして見るんです」
さ「おや/\それは誠に有難い事ねえ、本当に私は夢のような心持がします、今時そんな方が出て来るものではないのだが、全く姉さんのお取做《とりなし》が宜いからで、乙なもので何《なん》でも太鼓の叩き次第だからねえ、早速お村に申しましょう、お村や/\一寸降りて来《き》なよ」
村「あい」
と優しい声で返辞をして、しとやかに二階から降りて参り、長手の火鉢の角の処へ坐り、首ばかり極彩色《ごくざいしき》が出来上り、これから十二|一
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