な》んだ」
 國「今隣りの婆《ばあ》さんに聞くと、隣の娘を剣術遣いが妾にしてえ、銭も遣るから云う事を聞いてくれと云うと、その浪人者が飛んでもねえことを云うな、金に目をくれて娘を遣る奴があるものか、見損なやアがったか間抜野郎と云うと、剣術遣いが、おや此《こ》ん畜生《ちくしょう》なんだ此の唐偏木《とうへんぼく》め、貧乏をしているから助けて遣ろうというのだ、生意気な事をぬかしゃアがるなと云うので打合《たゝきあ》いが始まる、剣術遣いがその親父を斬ろうとする、娘が泣き出す、親父は眼こそ見えねえが中々聞かねえで、斬るなら斬れと云う喧嘩の最中だから旦那出ちゃアいけませんぜ」
 文「なに、一軒|隔《お》いて隣は小野|氏《うじ》の家に相違ないが、小野に怪我があっては相成らんゆえ、私《わし》が往って取鎮《とりしず》めて遣ろう」
 國「旦那が怪我をしちゃアなりませんからお止しなせえ」
 文「捨置く訳にはいかん、そこを放せ」
と云いながら日和《ひより》下駄を穿《は》いたなりで駈出《かけだ》し、突然《いきなり》喧嘩の中へ飛込みますると云うお話に相成りますのでございますが、一寸《ちょっと》一服致します。

  四
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