》へ手をかけて抜こうとすると、小野は丸で見えんのではないから持って居った煙管《きせる》で臂《ひじ》を突きますと、八十兵衞は立上ろうとする途端にひょろ/\として尻餅を突くと、家《うち》が狭いから上流《うわなが》しへ落ちに掛りますと、上流しが腐って居りますから、ドーンと下流しへ落ちました、丸で馬陸《やすで》を見たようです。八十兵衞は愈々《いよ/\》立腹致し、刀を振上げて斬ろうとするから、穗庵もぴかりっと抜きましたがこれはぴかりっとは参りません、錆《さ》びて居りますから赤い粉がバラ/\と出て、ガチ/\/\と鉈《なた》のようなものを抜いて今斬ろうとする。庄左衞門は破《や》れた戸棚《とだな》からたしなみの刀を出してさア来いと云う。娘は慄《ふる》えながら両手をついて、
町「何卒《どうぞ》お願いでございます、親父は眼病でございますから御勘弁なすって下さいまし」
と云って泣いている騒ぎを、長屋の者が聞付け、一同心配していると、國藏も引越した計《ばか》り故驚きましたが、此の騒ぎを見て帰って来て、
國「お浪、旦那をお帰《けえ》し申して、怪我をなすっちゃアいけねえからお帰《けえ》し申しな」
文「何《
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