い》ですから、嬢様のお心もお察し申して段々お尋ね申した処、秋田穗庵とか云う医者が真珠の入った薬なれば癒るが、それをあげるには四十金|前金《まえきん》によこせと申したそうで、就《つい》ては誠に失礼でございますが、持合《もちあわ》せている四十金を差上げますから、これでその真珠とやらを購《か》い整え、御全快になれば手前に於《おい》ても悦ばしく存じ、又お嬢様に於ても御孝行が届きますから、誠に失礼でございますが、此の金は明いて居《お》る金でございます、お遣い遊ばして下さいまし」
庄「へい/\忝《かたじけ》のうございます」
と片手を突いて見えない眼で文治を見まわして、
庄「あゝ貴方様は判然《はっきり》は見えませんから分りませんが、お若いお立派な方で、殊に御発明で御孝心の深いことはお辞《ことば》の上に見えすくようで、私《わし》も五十八になる母があるが、少し加減が悪いと恟《びっく》りすると仰しゃるのは御孝心な事で感心でござる、それに見ず知らずのものに四十金恵んで下さるのは誠に有難うございます、お志ばかり頂戴いたしますが、金はお返し申しますから、どうかお持ち帰りを願います」
文「それでは困ります
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