、折角持って参った金ですからどうかお受け下さいまし」
庄「いや/\受けません、見ず知らずのお方に四十金戴く訳がございません」
文「見ず知らずでございますが、昨夜お嬢様にお目に懸ったのが御縁でございます、躓《つまず》く石も縁の端《はし》とやら、貴方の御難儀を承っては其の儘にはおけません、どうかお受け下さいまし」
庄「どう致して、とても受けられません」
文「左様なら此の金を上げると云っては失礼でございますが、兎《と》に角《かく》明いて居《お》る金でございますからお遣い下さい」
庄「いや/\借《かり》ても今の身の上では返えせる目途《もくと》がありませんからお借り申すことは出来ません」
文「それではお嬢様に」
庄「いや/\娘も戴く縁がありません」
文「さア貴方はお堅いが、能くお考えなすって御覧なさい、貴方がいつまでもお眼が悪いと唯《たっ》た一人のお嬢様が夜中《やちゅう》に出て神詣《かみまい》りをなさるのは宜しいが、深夜に間違いでもあれば、これ程お堅い結構な方に瑾《きず》を付けたら何《ど》うなさる、私《わたくし》が金を上げると申したら御立腹でござろうが、子の心を休めるのも親の役で
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