お遣《つか》わしになれば、目薬料が出て御全快になって、而《しこう》して後《のち》のことでございます」
庄「いや眼は盲《つぶ》れても宜しい、お前さんの薬はもう呑まないよ」
秋「それじゃア無理には申さんから宜しいが、お嬢さま、お父様《とっさま》はあの通りお聞入れはないが、私《わたくし》の帰った後《あと》で能くお父様と御相談なさいよ、お父様がいやと仰しゃっても貴女《あなた》がおいでなさると云えば、お父様のお眼も癒るから、いやでも承知しなければなりません、何《いず》れ又出ますよ、左様なら」
庄「いやな奴だ、来ると彼奴《あいつ》あんなことばかり云っている、医者が下手だから桂庵《けいあん》をしているのだろう」
と云っている処へ参りましたのは、藍《あい》の衣服《きもの》に茶献上の帯をしめ、年齢は廿五歳で、実に美しい男で、門《かど》へ立ちまして、
文「御免なさい」
町「お父様《とっさま》入っしゃいましたよ」
庄「誰方《どなた》かえ」
町「文治郎様が」
庄「さア何卒《どうぞ》これへお上り遊ばしませ」
文「昨夜はどうも、これはお礼で恐れ入ります、貴女《あなた》が御無事でお帰りかと後《あ
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