今日|家《うち》へ入《いら》っしゃいますよ」
庄「来られちゃア困るなア、そんな方が入らしっては実に赤面だ」
町「それでも屹度来ますよ」
庄「困るなアお茶でも入れて上げな」
町「お茶はございませんよ」
庄「それではお菓子でも」
町「お菓子は昨夜《ゆうべ》戴いたのを貴方《あなた》が三つあがって、あとは仏様に上げてありますから、あれを上げましょうか」
庄「それでも戴いたものを又上げるのは変だのう」
町「あれ入っしゃいましたよ」
庄「文治郎様が入っしゃいましたと」
町「なアにそうじゃアございませんでした、秋田穗庵さまが入しったのでした」
庄「まア此方《こっち》へお上りなさい」
秋「はい今日《こんち》は番町《ばんちょう》辺《へん》に病人があって参り、帰りがけですが貴方のお眼は何《ど》うでございますな」
庄「些《ち》っとも癒《なお》りません、少しも顕《げん》が見えません、どうもいけませんから、これじゃア薬も止《や》めようかと思って居ります」
秋「それがナ貴君《あなた》のお眼は外障眼《がいしょうがん》と違い内障眼《ないしょうがん》と云って治《じ》し難《がた》い症ですから真
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