が、私《わし》が重役と中の悪い処から此の様に浪人致し、お前は何も知らない身分で、住み馴れぬ裏家住居、私《わし》に内証《ないしょう》で肌着《はだぎ》までも売ったようだが、腹の空《へ》った顔も見せず、孝行を尽して呉れるに、なんたる因果のことか、此の貧乏の中へ眼病とは実に神仏《かみほとけ》にも見放されたことかと、唯《たゞ》私《わし》の困る事よりお前に気の毒でならない」
町「あゝお父様勿体ないことを仰しゃって下さいますな」
庄「まア/\そんなことを云うな、清貧と云って清らかな貧乏は宜しいが、汚《けが》れた金を以《もっ》て金持と云われても詰らん、あゝ清貧と云えば昨夜天神の前でお前が癪の起った時、御介抱なすって下すった御仁は御親切な方だなア」
町「お父様、其のお方は実に御親切な方でございます、業平橋に在《い》らっしゃる文治郎様と仰しゃいます方だそうですが、私《わたくし》がお父様の御眼病の事をお話し申しました処が、そういう訳ならこれを持って行《ゆ》けと仰しゃってお金をお出し遊ばしまして」
庄「そうだってのう、見ず知らずの者に四十金を恵むと云うのは感心な方だのう」
町「其の方は屹度《きっと》
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