が宜しゅうございます」
庄「何故《なぜ》え」
町「先達《せんだっ》ても少しお見え遊ばすと云って、つい其処《そこ》までおいでなさると仰しゃいますから、私《わたくし》が窃《そっ》とお跡を尾《つ》けて参りますと、知れない横町からお頭巾をお被り遊ばし、袂《たもと》から笛をお出し遊ばして、導引揉療治《どういんもみりょうじ》と仰しゃってお歩き遊ばしましたから、私《わたくし》は恟《びっく》りして宅《うち》へ帰り、お父さまが人の足腰を揉んでも私《わたくし》に苦労をさせないように遊ばして下さる其の御膳《ごぜん》を戴いて食べるのは実に勿体ない事だと思って、あの時は御膳が刺《とげ》のように咽《のど》へたって戴けませんでした、私《わたくし》が男ならお父様にあんな真似はさせませんが、悔しい事には女でございますから、お父様のお手助けも出来ず、誠に不孝でございますと思って泣いてばっかり居りました」
庄「あゝもう/\そんなことを云うな、中々|私《わし》の方がお前に気の毒だ、用がないからそんな真似をするのだから悪く思って呉れるな、私《わし》も屋敷に居れば手前にも不自由はさせず、好きな簪《かんざし》を買ってやられる
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