を破り兇状を持つ身の上なれば此の土地へ立廻る事はなるまい、然《しか》るに此の界隈で悪い事を働き、官の目に留れば重き処刑になる奴だに依《よ》って、官の手を待たずして此の文治郎が立所《たちどころ》に打殺《うちころ》すが、汝《われ》は親兄弟もあるだろうが、これ手前《てまえ》の親達《おやたち》は左様な悪人に産み付けはせまい、どうか良い心掛けにしたい、善人にしたいと丹誠《たんせい》して育てたろうが、汝《わりゃ》ア何か親はないかえ、汝《われ》は天下の御法を破り、強請騙りを致すのをよも善い事とは心得まいがな、手前のような奴は、何を申し聞かせても馬の耳に念仏同様で益《やく》に立たんから、死んで生れ替って今度は善人に成れ、汝《われ》は下駄屋職人だそうだが、下駄を削って生計《くらし》を立てゝも其の日/\に困り、どうか旦那食えないから助けて下さいと云って己《おれ》の処へ来れば米の一俵位は恵んでやる、然《しか》るを五十両|強請《ゆすろ》うなどとは虫よりも悪い奴である、汝《われ》の親に成代《なりかわ》って意見をするから左様心得ろ、人間の形をしている手前だから親が腹を立てゝ打《ぶ》つ事があろう、其の代りに折檻《せ
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