》へ」
浪「お初うにお目に懸りました、どうか國藏同様御贔屓を願います」
藤「成程、これがお嫁さんで」
國「なアに、これは私《わっち》の嚊《かゝあ》です、引込《ひっこ》んでいな」
藤「このお嬢様、さア/\これへ/\」
しとやかに手を突いて、
町「お初うにお目に懸りました」
と漸《やっ》と手を突いて挨拶をする物の云いよう裾捌《すそさば》き、この娘を飯炊きにと云っても自《おのず》から頭が下《さが》る。
藤「ハ……お初にお目に懸りました、不思議の御縁で、どうか此の事が届けば手前に於《おい》ても満足致す、今文治の母が参られます、此の後《ご》とも御別懇に……國藏、これだけの御器量があって御膳炊きにしてくれと身を卑下した処に感服しますねえ」
國「実にこんなお嬢さまはない、親孝行で、お父《とっ》さんのお達者の時分には八《や》ツ九ツまで肩を擦《さす》ったり足を揉んだりして、実に感心致します」
藤「おかやや叔母に早く来るように話しな」
か「叔母さんがお出《いで》になりました」
文治郎の母が参りまして娘に会いますと、
町「不束《ふつゝか》のもので何処《どこ》へ参っても御意に入《い》
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