がございますから、
 國「感心なお心掛けでございます、旦那も未だ御新造《ごしんぞ》がないから貴嬢《あなた》が往って下されば私も安心だ、何しろ森松をよんで話して見ましょう」
 とこれから女房が往って森松を呼んで来ると、直ぐやって来ました。
 森「御無沙汰しました、丁度来《き》ようと思っていた処だが、旦那をお母《ふくろ》さんが出さねえ、旦那が出なけりゃア此方《こっち》も出られねえ、お母さんは旦那が好きで喧嘩でもすると思っているから困らア」
 國「私《わっち》も御無沙汰したよ」
 森「馬鹿に暑いねえ、団扇《うちわ》か何か貸してくんねえ……何《なん》だい今日呼びに来た用は」
 國「少し相談がある、お前《めえ》も番場の森松、己《おれ》もまかな[#「まかな」に傍点]の國藏、お互いに悪事を重ねて畳の上で死ねねえと思ったのを、旦那のお蔭で世間なみの人間になったのは有難いわけじゃねえか」
 森「実に有難《ありがて》いよ、旦那のお蔭で森さんとか何《なん》とか云われていらア」
 國「主人だね」
 森「主人だ」
 國「旦那に良《い》い御新造《ごしんぞう》の世話をしたい、お母《っか》さんも初孫《ういまご》の顔を
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