て探しましたが分りません。娘は泣く/\野辺の送りをするも貧の中、家主や長家の者が親切に世話をしてくれます。お町は思い出しては泣いてばかり居ります。ふと考え付いたのは流石は武士の娘でございます、お父様《とっさま》を殺したのは意趣遺恨か知れないが、何しろ女の腕では讎《かたき》を討つことが出来ない、自分も二百四十石取った士《さむらい》の娘、切《せ》めては怨みを晴したいが兄弟もなし、別に親類もない、実に情《なさけ》ない身の上であるが、業平橋の文治郎さまという方は情深いお方、去年の暮もお父様《とっさま》が眼病でお困りであろうと、見ず知らずの者に恵んで下さり、結構な薬まで恵んで下さる、真の侠客じゃとお父様がお賞《ほ》め遊ばした、彼《あ》の家に奉公し、辛抱して親の仇《あだ》が知れた時、お助太刀《すけだち》をねがうと云ったら、文治郎さまが助太刀をして下さるだろうと考えて居ります。その一軒置いて隣にまかな[#「まかな」に傍点]の國藏という者、今は堅気《かたぎ》の下駄屋《げたや》をして居ります。一つ長家で親切でございますから、此の事を國藏に頼むと、國藏も根が悪党で、悪抜《あくぬ》けたのでございますから親切
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