行《ゆ》くと施し日だからたゞやってくれます、昼間|傘《からかさ》を差掛け其の下へ寝かして、目の脇へ針を打つと膿《のう》が出て直ぐ治ります」
庄「左様ですか、併《しか》し今日これから行《ゆ》くと遅くなりましょう」
忠「遅くも往って御覧なさい、目は一時《いっとき》を争います、あなたが針を打った処へ蘆膾丸を上げる」
庄「どうか其のお薬を頂戴したいもので」
忠「直ぐに今日入っしゃい、後《おく》れてはいけません、手前お暇《いとま》申す、後れてはいけませんよ、一時を争うから」
庄「誠に有難うございます」
と上りはなまで送って参りました。阿部忠五郎はまんまと首尾よく往ったと思って振り返り/\行《ゆ》く。此方《こちら》では、
ま「お父様《とっさま》、おいでなすったら宜しゅうございましょう、私がお附き申しましょうか」
庄「いや/\仔細ない、微《かす》かに見えるから心配には及ばぬ」
と出掛けましたが、衣類は見苦しゅうございます、帯は真《しん》が出て居りますが、たしなみの一本を差しまして、深編笠《ふかあみがさ》を冠《かぶ》って早稲田へ尋ねて行《ゆ》くと、鴨川壽仙は山の宿《しゅく》へ越したと云
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