のある悪人でありながら、夫婦|連《づれ》にて此の近傍《かいわい》の堅気の商家《あきんど》へ立入り、強請騙りをして人を悩ます奴、何処《どこ》ぞで逢ったら懲《こら》してくれんと思っていた処、幸い昨夜其の方の女房に出会いしにより打殺そうと思ったが、お浪を助けて帰したは手前を此の家《うち》に引出さん為であるぞ、其の罠《わな》へ入って能くノメ/\と文治郎の宅へ来たな、さア五十両の金を騙り取ろうなどとは申そうようなき大悪人、兎《と》や角《かく》申さば立処《たちどころ》に拈《ひね》り潰して仕舞うぞ」
 と打《う》って変った文治郎の権幕《けんまく》は、肝に響いて、流石《さすが》の國藏も恟《びっく》り致しましたが、
 國「もし旦那え、それじゃア、からどうも弱い者いじめじゃアありませんか、私《わっち》の方で金をくれろと云ったわけじゃアありません、お前《めえ》さんの方で懇意ずくになって金を貸すと云うから借りようと云うのだが、又亭主に無沙汰《ぶさた》で人の女房を打《ぶ》って済みますかえ、其の上|私《わっち》を打殺すと云やア面白い、さアお打ちなせえ、私《わっち》も國藏だア、打殺すと云うならお殺しなせえ」
 文「
前へ 次へ
全321ページ中27ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング