打《ぶ》った処は文治郎が重々悪いから、飽くまで詫びたならばお前も男の事だから勘弁するだろうね、勘弁してくれたら互に懇意になり、懇意ずくなら金を貸してもお前の恥にも私《わし》の恥にもならないから、心が解けたら懇意になって懇意ずくでお内儀《かみ》さんの手当となしに金を五十両やるからそれで帰って下さいな」
 國「へゝ、こりゃアどうも、もし旦那え、お前《めえ》さんのようにサックリと話をされちゃア何も云えない、と申すのは、貴方《あなた》のような立派な方が私《わっち》のようなものに謝まると仰しゃれば、宜しいと云わなければなりません、そうなれば懇意ずくで金を貸せば恥になるめえから五十両やると云う、実に何とも申そうようはござえません、実はお母さんのお耳へ入れまいと思ったが、つい貧乏に暮していますから苦しまぎれに申上げたのでございます、それではどうか五十両拝借したいものでございます」
 文「五十両でいゝかえ」
 國「宜しゅうございます/\」
 と云うと文治は座を正して大声《たいせい》に、
 文「黙れ悪人、其の方《ほう》は此の文治を欺き五十両強請ろうとして参ったか、其の方は市中お構《かまい》の身の上で肩書
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