だ、悪事が露顕すれば素首《すこうべ》のない人間だ、毒を喰わば皿までというから貴公も飽《あく》までやりな」
 忠「やりましょう、やりましょうが、医者のことを心得ませんから」
 蟠「それは教われば宜しい」
 と話をしている処へ穗庵がつか/\と這入って参りました。
 穗「へー今日《こんにち》は」
 蟠「さア此方《こっち》へ」
 穗「先刻お人でございましたが、余儀ない用事で遅くなりました…いやこれは阿部|氏《うじ》」
 忠「これは久し振りでお目に懸りました、一昨日から飲過ぎて暑さに中《あた》り、寝ていて、今日《こんにち》漸《ようや》く出て参りました、今先生に聞いたが医者のことを聞かせてくれなくってはいかぬ」
 穗「阿部氏は得心しましたか」
 蟠「得心したから教えてくれぬではいかぬ」
 穗「宜しい、眼病には内障眼と外障眼と二つあるが、小野庄左衞門のは外障眼でない、内障眼という治《じ》し難《がた》い眼病だ、僕も再度薬を盛りましたが治りません、真珠《しんじゅ》麝香《じゃこう》辰砂《しんしゃ》竜脳《りゅうのう》を蜂蜜《はちみつ》に練って付ければ宜しいが、それは金が掛るから、娘を先生の妾にくれゝば金を出
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