。大伴蟠龍軒の次に蟠作が坐り、其の次にお村が坐りまして、其の次にお崎|婆《ばゞあ》が猫脊になって坐って居《お》る、外《ほか》に門弟が四五人居ります。襖を隔《へだ》って文治郎が両手を突いて叮嚀《ていねい》に挨拶を致します。
 蟠「さア、どうぞこれへ這入って下さい、其処《そこ》じゃア御挨拶が出来ぬ故|何卒《どうぞ》此方《こっち》へ這入って下さい、此の通り今稽古を仕舞って一杯初めた処で、甚だ鄙陋《びろう》な体裁《ていさい》で居《お》るが、どうぞ無礼の処はお許し下すって、これへお這入り下さい」
 文「へー初めまして、えー業平村に居ります浪島文治郎と申す至って粗忽の浪士、お見知り置かれて此の後《のち》とも幾久しく御別懇に願います」
 蟠「御叮嚀の御挨拶、手前は大伴蟠龍軒と申す武骨者、此の後《ご》とも御別懇に願う……これは手前の舎弟でござる、蟠作と申す者、どうぞお心安く願います」
 蟠作「初めまして、手前は蟠作と申す者、予《かね》て雷名|轟《とどろ》く文治郎殿、どうか折《おり》があらばお目に懸りたいと思っていたが、縁なくして御面会しなかったが、能《よ》うこそ御尊来で、予てお噂に聞きましたが、大分《
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