事があるだろう、自分の悪いことを隠してはいかぬ、讎《かたき》を取って貰いたければ私《わし》に話しなさい、又趣意に依《よ》って話をつけてお前の顔の立つ様にもしよう、そうじゃないか」
 友「へー有難い/\、森松さんお出でなさい」
 森「今|漸《ようや》く私《わっち》の顔が分ったのか、しょうがねえ、おい水を飲みなせえ」
 文「どう云う訳かえ」
 友「へー、この二月|月末《つきずえ》、本所北割下水大伴蟠龍軒と云う剣術遣いの先生の舎弟の蟠作と云うものが店へ来て、誂《あつら》え物があるから宅へ来いと云われるから、度々《たび/\》参りますと、結構な品々を買ってくれ、御馳走をして祝儀をくれ、有難い得意が出来たと思い、足を近く参りました、そうすると向うでも、度々参りますから私《わたくし》の好き嫌いも知るようになりました、後月《あとげつ》十一日に私《わたし》が参りますと、阿部忠五郎と云う人が舎弟の蟠作と碁を打って居りまして、私の碁の好きなのを知って、碁を打て/\と云いますから、私も相手になって一二番打つと、遂《つい》に賭碁にしろと云い、初めは私《わたくし》が勝ちましたが、段々仕舞に負けまして、大伴蟠龍軒か
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