友「へー、お村様と云いますから、お村のお母《ふくろ》まで向うに附いているので、へー」
森「これは仕様がねえな、旦那が分らねえか」
文「友さん、私《わし》が分りませんか、業平橋の文治郎だが分りませんか」
友「へー/\旦那で、有難い/\能く来て下さいました、旦那様|口惜《くやしゅ》うございます、何《ど》うか讎《かたき》を討って下さい、私は半分死んで居ります」
文「まア気を落付けなさい、嘸《さぞ》残念であろうが、何《ど》う云う訳でお前は酷《ひど》い目に遇《あ》ったか仔細を云いなさい」
友「へい、私はね旦那様あなたより外《ほか》に讎《かたき》を取って戴く方はございません、貴方の処へ参りたいと思いましても、此の二月貴方に一言《いちごん》のお話もしませんで銀座三丁目へ越し、つい敷居が高くなり御無沙汰になりましたが、是れも皆お村の畜生が悪いからで、何卒《どうぞ》御勘弁なすって下さい」
文「まア無沙汰の詫事《わびごと》はどうでも宜《よ》いが、お村はどうした」
友「へい、お村は向うへ取られ、金も百両取られました上で打《ぶ》たれました」
文「女房と金を取られて打擲されるとはお前に何か悪い
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