ら金を借りましたので、すると百両と纒《まと》まった金だから証文にしろ、若し金が滞《とゞこお》ったらば抵当《かた》に女房お村を召使に上げるということを証文|表《おもて》に書き、それもほんの洒落だからと申しますから、冗談の心持で阿部忠五郎と云う奴に証文を書いて貰って、うっかり印形を捺《お》したのです」
文「それはまア飛んだ目に遇った、企《たく》んでいたのだな」
友「企んだって企まないってそれ程とは存じません、門弟衆にはお旗下《はたもと》もあり、お歴々もあるから、よもやそんな真似はしようとは思いませんが、前々《ぜん/\》からお村に惚れていた故|欺《だま》したのです」
文「それからどうした」
友「それで百両負けて仕舞って、晦日《みそか》に言訳に行《ゆ》くと、宜しい、返さなくっても宜しいと申し、客があるから一両日お村を貸せと云うから働きに連れて行くと、昨日《きのう》まで返しません、余《あんま》り返しませんから、お村を迎いに行くと、金を返さぬからお村を蟠作の妾にして毎晩抱いて寝て、手前の方へは返さぬから金を持って来いと云うから、私はどうも恟《びっく》り致しました、余《あんま》りでございます
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