ようや》く七所借《なゝとこがり》をして百両|纒《まと》めて、日の暮々《くれ/″\》に大伴蟠龍軒の中の口から案内もなしで通りましたが、前と違い門弟|衆《しゅ》も待遇《あしらい》が違う。
門弟「これ/\紀伊國屋、無沙汰で中の口から通る奴があるか」
友「へえ先生にお目に懸りたい」
門弟「取次いで遣るから其処《そこ》に居れ、何《なん》の用だ」
友「いゝえ、来いと仰《おっし》ゃるから参ったので、金を持って来たのです」
蟠「誰か来たか……なに紀伊國屋が来た、余り小言を云わぬが宜《よ》い、さア這入《はい》れ、宜しいから此処《こゝ》へ来い」
友「先生、金子百両|慥《たしか》にお返し申しますから証文とお村を引換《ひきかえ》にどうぞお返しなすって下さい」
蟠「何《なん》と、そんなに顔色を変えて泣面《なきつら》をするな、これは百金だな」
友「左様で、百両借りたから百両持って参ったのです」
蟠「痴漢《たわけ》、手前は三百両借りたのではないか」
友「何を仰しゃる、私は百金しか借りた覚えはありません」
蟠「黙れ、手前は上《のぼ》せて居《お》るな」
友「お前さんが上せている町人を欺《だま》し
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