洒落だと仰しゃるから印形を捺《お》しましたが、そうでなければ女房を書入《かきいれ》の証文に印形を突きは致しません」
蟠「黙れ、手前洒落に首と釣換えの印形を捺すか、誰が洒落に金を貸す奴があるか、出入の町人に天下の通用金百両と云う大金を貸すは忝《かたじけ》ないと思え、洒落に貸す奴があるか、痴漢《たわけ》め、お村が欲しければ金を返せ、己《おれ》が間へ介《はさ》まって迷惑に及ぶぞ、痴漢め」
友「これは驚きましたな、どうも余りと云えば呆れ果てた仰しゃり分でげす、宜しい、私も紀伊國屋です何も金を返せなら返せで催促を遊ばして、女房を取上げんでも宜《よ》い、お村を鳥渡《ちょっと》貸せと仰しゃるから上げたので何もそれを抱いて寝る事はありません、お村も亦《また》抱かれて寝ることはありません、金を持って参ります」
蟠「当然《あたりまえ》で」
友「金を拵《こしら》えて持って参ります」
と真青《まっさお》な顔をして涙を浮べ唇の色も変えて友之助飛出したが、只今と違い其の頃百金と云うは容易に人が貸しません。正直な者でも明後日《あさって》来いとか明日《あした》来いとか云う人ばかりでございます。翌日になり漸《
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