す、今度は百両賭で遣りましょう」
 阿「百両賭、面白い、遣りましょう」
 友「旦那様恐入りますが百金拝借致したいもので」
 蟠「百金|私《わし》の手もとにはないが…どうだえ貸すかのう」
 蟠作「左様です、紀伊國屋だから兄上が証人なれば貸しましょう」
 蟠「じゃア貸して遣ろう」
 友「負ける碁ではないのですから百金として先《せん》のを皆取返して、阿部さんの鼻から汗を出させます」
 阿「怪《け》しからぬ、さア参りましょう」
 蟠「紀伊國屋百両と纒《まと》まった金だ、貴様は堅い商人《あきんど》だから間違はあるまいが、鳥渡《ちょっと》証文を書かぬと私《わし》が証人になって困るから」
 友「宜しい、印形《いんぎょう》を持参しましたから書きます」
 蟠「なに荷《に》を書入れる、馬鹿な、そんなことをしなくっても宜《よ》いのう蟠作」
 蟠作[#「蟠作」は底本では「蟠」と誤記]「なに兄上、紀伊國屋は土蔵よりなにより大事なものは女房のお村だと云って度々《たび/\》惚《のろ》けを言いますが、若《も》し此の三十日《みそか》までに金が出来んで返金の出来ぬときは女房お村を貴殿方《きでんかた》へ召使に差上げましょう
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