と一月《ひとつき》も来ぬ様な心持で合縁奇縁《あいえんきえん》で妙なものだ、どうも懐かしいな」
友「恐入ります、先日は又多分の頂戴物《ちょうだいもの》をいたして、殊《こと》に御馳走になり酩酊いたして有難いことで、何時《いつ》も酔って帰りまして家内に叱られます」
蟠「どうも可愛い男だ、今|阿部《あべ》忠五郎《ちゅうごろう》と舎弟と碁を遣《や》り初めたが、私《わし》は一杯遣ってるが誠に陰気でいかぬ、どうも好《すき》だから彼《あ》の通りだ」
友「へー大層夢中になって入っしゃいます……御舎弟様、御機嫌宜しゅう…阿部様御機嫌宜しゅう…少しもお耳に這入《はい》りませんな」
蟠「これ蟠作、紀伊國屋が来た」
蟠作「いや、これはどうも久しく逢わぬが、余り来ないと云って兄と案じていた、今阿部と初めた処だが碁に掛ると他に念なしで夢中になるから」
阿「さア六《むず》ケしくなって来ました、此処《こゝ》の隅《すみ》だけは取られた塩梅《あんばい》だ」
友「阿部様、少しお悪い様で」
阿「これはどうも、誠に先日はお互いに酔って御無礼を致しました、御舎弟には中々|敵《かな》わぬ、今一生懸命の処で御挨拶《ごあ
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