》この袋物屋には良い品がある様だ」
 阿「左様でげすか、貴方は今迄のお出入がありながらお好《すき》だから良い店へ立寄ると買い度《たく》なりますと見えますね」
 士「妙なもので丁度婦人が小間物屋の店へ立った様なものだ」
 阿「良い物がありますかね」
 士「これ/\亭主、其の袂持《たもともち》の莨入《たばこいれ》を見せろ」
 友「まアお掛け遊ばせ、好《よ》いお天気様で、エー新店《しんみせ》の事で、エー働きますが御贔屓《ごひいき》を願います」
 士「あゝ、草臥《くたびれ》たから少し腰を掛けさせてくれ…其の金襴《きんらん》の莨入を遣物《つかいもの》にしたいと思うが見せろ」
 友「へい/\/\御進物にはこれは飛んだお見附《みつき》も宜しく、出した処も宜しゅうございます、この方は二段口になって、これは更紗形《さらさがた》で、表は印伝になって居りますから」
 士「大分良い物がある……阿部氏何んぞ買わぬか」
 阿「どうもいけません……手前煙草がいけませんから欲しくございません……御亭主大層良い品があるね」
 友「どうも品物が揃《そろ》いませんで……これお茶を上げなよ」
 むら「はい」
 と奥から出まし
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