から、何卒《どうぞ》お許し遊ばして、御飯を召上って下さいまし」
母「いや喫《た》べんと云ったら二|言《ごん》とは申しません」
喜「宜しい、あなたの御気性で、食を止《とゞ》め餓死しても文治郎殿の為に遊ばすと云うのは、子が可愛いからでしょうが、何《ど》うか文治郎殿に代ってお詫を申上げます、お赦《ゆる》し下さい」
母「いゝえ、お置き下さい」
か「どうか私《わたくし》に免じて御飯を食《あが》って下さいまし」
母「なりません、侑《すゝ》めると肯《き》きません」
喜「それではどうも致し方がない、死を極めておいでなすって見れば仕方がないによって、手前此の場で割腹致しお先供《さきとも》を致す」
か「私《わたくし》も供《とも》にお先供致します」
と云いながら鞘《さや》を払って已《すで》に斯《こ》うと覚悟致しますから、
母「まアお待ちなさい」
喜「いゝえ待ちません」
母「これかや、まア待ちな……命を捨てゝ詫ことをして下さる、赦し難い奴なれども、お前方両人に免じて一とたびは赦しますから、文治郎をこれへお呼び下さい」
喜「なに、御勘弁下さると、それは有難い、文治郎殿、お詫ごとが叶《かな
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