廉《かど》を以《もっ》て捨置き難《がた》く手打に致したと、手前引受けて訴え出《い》で、あなたのお名前はこればかりも出しません、誠に善く殺して下さいました、忝けない」
 と女房を殺した人に礼を云って居りますから、母は気の毒に思い、五十両の金を内済として贈ると、喜代之助はどうしても受けませんで、
 喜「どうして私《わたくし》の為に命を掛けて助けて下すったに、金子を戴く訳はありません、実に文治郎殿の気性には手前感服致した、此の様《よう》なる方と御懇意にしたら此方《こっち》の曲った心も直ろうと思いますから、以後御別懇に願いたい、就《つい》ては母も老体で私《わたくし》が内職に行《ゆ》くことが出来ませんから、文治郎殿の鑑識《めがね》に適《かな》った女房を世話をして下さい、成るべくお親戚《みより》なれば尚更忝けない」
 との頼みに文治郎も捨置かれませんから、母の姪《めい》のおかやと云う年二十六になる、器量は余り宜しくないが屋敷育ちで人柄な心掛のよい女を嫁にやろうと云うと、喜代之助は大きに喜びまして、何しろおあさを殺したことを届けようと云うので届出ますと、岡ッ引《ぴき》御用聞などが段々探索になりました
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