ると不具《かたわ》になって仕舞うよ」
 森「おい/\己《おら》の処は医者様じゃアねえよ、これは浪島文治郎さんと云う人の宅だよ」
 國「そりゃア存じて居ります、おい若衆《わけいしゅ》さん帰《け》えってもいゝよ」
 と駕籠屋を帰し、お浪の手をとりまして、
 國「少し此処《こゝ》へお置《おき》なすっておくんなせえ」
 森「おい、少し待っていねえ、お母《ふくろ》さんに話すから」
 と奥へ参り、
 森「申しお母《ふくろ》さんえ、何《なん》だか知れませんが膏薬だらけの女を連れて旦那にお目に懸りてえと云って来ましたから、旦那が留守だと云ったら、お母《ふくろ》さんにお目に懸りたいと申しますが、何《ど》うしましょう」
 母「此方《こちら》へお通し申せ/\」
 森「さア兄イ此方《こっち》へ来ねえ」
 國「えゝお初《はつ》うにお目に懸りました、私《わっち》は下駄職國藏と申すものでごぜえやすが、お見知り置かれまして此の後とも御別懇に願います」
 母「はい、私《わたくし》は文治郎の母でございますが、生憎今日は他出致しましたが、誠に年を取って居りますから悴《せがれ》が余所《よそ》様でお交際《つきあい》を致しました
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