《かご》を一挺《いっちょう》頼んで来て、襤褸《ぼろ》の※[#「※」は「「褞」で「ころもへん」のかわりに「いとへん」をあてる」、11−6]袍《どてら》を着たなりで、これにお浪を乗せ業平文治の玄関へ参りまして、
國「お頼み申します/\」
男「オヽイ」
と返事をして台所の方から来たのは、本所の番場で森松《もりまつ》と云う賭博兇状持《ばくちきょうじょうもち》で、畳の上では生きていられないのが、文治の意見を聞いて改心して、今では文治の所にいる者です。
森「だれだえ」
國「えゝ浪島文治郎様のお宅はこちらですか」
森「此方《こちら》だがお前《めえ》はなんだえ、/\」
國「少し旦那にお目に懸ってお話し申したいことがあって来ました」
森「生憎《あいにく》今日は旦那はいねえや、何《なん》の用だか知らねえが日暮方にでも来ねえ」
國「旦那がお留守なら御新造《ごしんぞ》さんにでもお目に懸りたいもんです」
森「御新造さんはねえや、お母《っか》さんばかりだ」
國「お母《ふくろ》さんでも宜しゅうございます、へい、これは病人でございますから、おい/\ソーッと出ねえといけねえよ、骨が逆に捻《ねじ》れ
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