武士でござる、文治郎殿の首を申受ける心得で参った、はい」
 母「誠に何《なん》とも申そう様もございません、嘸《さぞ》御立腹でございましょう、彼《あ》の通りの者で、やゝも致しますると人様に手出しを致す事がございまして、若年《じゃくねん》の折柄《おりから》確《しか》と意見を致したことはございましたが、此の度《たび》の事には実に呆《あき》れ果てまして何《なん》ともお詫のしようがございません、彼《あ》の様な乱暴な子を持った母は嘸心配であろうと私《わたくし》の心を御不愍《ごふびん》に思召《おぼしめ》して、御内聞のお話にして下されば多分の貯《たくわ》えもございませんが、所持して居ります金子は何程でもあなた様へ」
 喜「いえ/\お黙りなさい、お前さんも武士の家にお生れなすった方ではないか、金を貰って内済に出来ますか、只主意が立てば宜しい、はい主意が立たんければ家内あさの命と文治郎殿の命と取換《とりかえ》るばかりで、はい」
などと顔色を変えている処へ文治郎が帰って参りました。
 森「旦那、うっかり入《へい》っちゃアいけませんよ」
 文「何を」
 森「お前さんは大変な事をやって、驚きましたねえ、私《わっ
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