まして私を責め折檻《せっかん》致します、余《あんま》り残念でございますから駈け出して身でも投げたいと思っても足腰が利かず、匕首《あいくち》を取出して自害をしようと思いましても、私の匕首までも質に入れてございません、舌を食い切って死のうと思っても歯はございませんし、こんな地獄の責《せめ》はございませんから私は喫《た》べずに死にます」
彦「そんなことを云ってはいけません、さアお食《あが》んなさい」
と云われ元は二百六十石も取りました藤原の母ががつ/\して塩握飯を食べて居ります処へ、帰って来たのはおあさで、
あ「お出《いで》なさい」
彦「いやこれは」
あ「お母《っか》さん又お鉢の中へ手を突込んで仕損《しそこな》いをすると私が困りますから」
彦「あゝ御新造さんこれは私《わし》が持って来たので、お母《っか》さんがお鉢から食べたのではありません」
あ「へえお前さんは能く持って来て下さるが、仕損いをするとしょうがないから上げないのに、何故《なぜ》持って来て食わせるんだえ、私共は浪人しても武士だよ、納豆売|風情《ふぜい》で握飯《にぎりめし》を母へくれるとは失礼な人だ」
彦「これは失礼し
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